「座談会V」〜ナナシノ(三条新之助)+京子〜
柳瀬 始めましょう。
永井 はーい!
柳瀬 ナナシノ・三条新之助役の柳瀬亮輔です。
永井 清水京子役の永井三稀です。
柳瀬 清水さんっていうんだね、京子君は。
永井 清水なんです!はい!
柳瀬 「モダンガールズ」と言えば、正直な所、三条新之助君と清水京子さんの恋の物語…
永井 そうなんです。
柳瀬 とも、言えるわけですよね。ですので、その辺を初めて二人で…
永井 恋愛話!
柳瀬 ええ、恋愛話をしてみようと。
永井 はい。
柳瀬 まずは、新之助君が記憶を失ってレヴュー小屋に迷い込んできて、二人が初めて出逢うシーンですが。
永井 はい。
柳瀬 どんなシーンでしたっけ!?
永井 えーっと、私がピューっと!
柳瀬 そう、ピューっと!京子君がドジな感じでね…
永井 そう!
柳瀬 通る所を新之助が見つけるわけですけど、ホントに一瞬!
永井 そうですね。最初の出逢いはね。
柳瀬 目が一瞬合ったか合わないかぐらいだよね!?
永井 うーん。…正直あの時はあんまり意識してません。ごめんなさい!
柳瀬 あはははは(笑)、そうなんだ。
永井 あのー、「ありがとうございました」っていうぐらいで、仕事の最中だし下っ端だから
兎に角急いで次の仕事をやらなきゃいけないって事で頭が一杯で、親切な人だなってぐらいは思うんだけど…
柳瀬 どんな顔かも分からないくらい?
永井 いや、それはわかってるけど!でも、そこまで「ビ!ビ!ビ!」とかそういう意識は正直してないです。
ゴメンナサイ。
柳瀬 あっ、そうですか…。じゃあ、ナナシノ君の片思いから始まるんですね!
永井 えぇーっ! してるんですか!?
柳瀬 あのシーンは、昭和5年のレヴュー小屋の肌も露わな女の子たちを見て、純粋なナナシノ君はドキドキしてる。
その中で一人遅れて来た女の子を見て「あ…」っていう思いが走る。可愛い子だなって。
永井 キャーーーー!ありがとうございます!
柳瀬 いいえー!
永井 じゃあ私ももうちょっと、なんか運命を感じてみようかな!?
柳瀬 いや、いいんじゃないかなその後でも。だって、その後のシーンでナナシノの事を変人扱いするし…
永井 うん。だって皆が凄い噂してるよ。おかしいとか変だとか。
柳瀬 記憶が無いっていう情報はあるのかな?
永井 なんかね、ちょっと頭が変だよっていう感じで広まってる。
柳瀬 はぁ…傷つくなぁ。そもそも、昭和5年の段階で記憶喪失っていう言葉が一般的か?っていうのが分からないもんね!
永井 あー。
柳瀬 僕らは知っているけどさ。そんな病気があるっていうことが、でも、一般的なのかなぁ?どうなんだろうね!?
永井 でも、今まで私が何十年生きてきた中で「記憶喪失」の人と出会ったことが無いから…
柳瀬 そうだね!僕も無い!
永井 でしょ!無いよね!だから、凄い不思議!!
柳瀬 実際、記憶喪失の人って新聞とかテレビとかでしか見ないもんね。
永井 うん。
柳瀬 でも、最近テレビで記憶喪失の青年がっていうのをやってた時は、へぇ〜って興味津々で見ちゃうよね!
永井 すごい見ちゃう!
柳瀬 不思議なんだろうね。
永井 だし、すっごくすっごく不安なんだろうね!?記憶が無いって…。
柳瀬 未知の世界だよね。あの、お酒を飲んで記憶を無くした事なら何回かあるんだけど…
永井 あるんだ!あははははー(笑)
柳瀬 次の日に自分のコンプレックスを友達が知っていたりして、でも、話した記憶は全く無かったから…
「お酒を飲んでも呑まれるな」っていうのを身にしみて感じた。
永井 へえー!
柳瀬 そんな事はどうでも良いか!次のシーン!二人が初めてちゃんとお話をする。
永井 うん、あのシーンね。
柳瀬 ま、あのシーン僕はあまり喋らないんですけどね。
永井 そっか!…そうだっけ?
柳瀬 そりゃ、ちょっとは喋るけど。京子君が色んな事を喋っているのを聞いている。
永井 うん、そうだ!
柳瀬 あそこで京子君はナナシノを好きになるの?まだ?
永井 あはははは!(笑) 早く好きになってほしい!?
柳瀬 早く好きになってほしい!
永井 爆笑!
柳瀬 僕的にはもうかなりの段階にきてるの。
永井 かなりの段階なんだ!(笑いながら)
柳瀬 あのね、京子君と話をしている時だけ力が抜けてる、楽な自分でいられる。
永井 それは女性として意識してないからじゃない!?
柳瀬 そうなのかな?
永井 えぇーーーーーーーーー!
柳瀬 違う違う!色々な気持ち、不安とか孤独感とか…後谷先生しか頼る人のいない中で、
女の子なんて未知の領域で親しくっていう事もない、上流社会の人間だから、お付き合いはあっても友達感覚で話せるっていうのはなく…
永井 うん。
柳瀬 この子といると楽でいられるなっていう認識から始まるシーンなの、このシーンは。
永井 へぇー!
柳瀬 そして色んな助けになる言葉を貰って、本当に惹かれてしまう!
永井 うん。うん。
柳瀬 …京子君はまだ好きじゃなかったんだ…。
永井 えっ!いや!もう、そんな事ないよ。でも、「初めは変な人だなぁ」とは思ってるんだけど、話してるうちに
「あっ、意外とまともな人なんだ」っていうところから入っていって、どんどんワクワクしていくから!
だってそれじゃなきゃあの歌は歌わないと思う!
柳瀬 そうだよね!あの歌はね。
永井 あの歌は本番のお楽しみですが!
柳瀬 そういえば、支那ソバ屋!昭和5年っていうのはホントに支那ソバ屋の屋台が上陸した年なんだって。
永井 へえー!
柳瀬 だから屋台っで食べるってことは新之助も京子も初めてなんだよね!
永井 うん!
柳瀬 きっと三条家のお坊ちゃまは屋台でなんて食べないだろうし、京子君もそんな無駄遣いはしないだろうしね。
永井 絶対行かない!
柳瀬 でも、踊り子たちの中には食べたことある子も…
永井 先輩の中にはそういう人もいるかも!?だけど、そんな余裕は無い!
柳瀬 実は支那ソバ屋も「ハイカラ」なんだよね。
永井 そうだよね!新鮮。
柳瀬 だって、あの人が上陸第一号かも…
永井 そうだ!
柳瀬 違うかも
永井 でも、きっと一号だよ!
柳瀬 うん。…話が飛びすぎてしまった。戻しましょう!京子君って一番下っ端?一番新人?
永井 そう!
柳瀬 喜楽館(注:レヴュー小屋の名前)で?
永井 うん。
柳瀬 それよりも新しい新人っていうのが僕なんだ!?
永井 そう!
柳瀬 後輩なんだよね。
永井 そう!ちょっとだから何か…
柳瀬 敬語じゃなくてすむ唯一の人、みたいなね。
永井 そう!いつも気を使っていなきゃいけない中で、割と「はぁ〜」って何でも話せる人、みたいな。
柳瀬 なるほどね〜。
永井 うん。
柳瀬 前に言ってた「ちょっと引っ掛かる、なんでこんな事言えるんだろう」っていう京子の台詞は解決出来た?
永井 うん!解決できた!
柳瀬 おぉ!解決できたんだ!
永井 うん。私の中では。
柳瀬 そっか!
永井 前回やらせて頂いた時は、自分の中で「我儘なんだなー」って思いつつやっていた節があるんだけど…
そうじゃない風に持っていけるようになった!今回。
柳瀬 あー、なるほどね。
永井 うん。
柳瀬 僕も言われて「あ、そっか」って。突然そんな事を言われてね、振り回してくるタイプの女の子なのかな?って。
でも、それはミキちゃんに言われて初めて考えたこと。だから、その台詞で「我儘な子だなー」っていう印象は最初から全然なかったよ。
永井 良かった!
柳瀬 あはははは!(笑)
永井 突然ですが、「昭和の5年の恋」ってどんなんだったんだろうね!?
柳瀬 これ、第一回目の座談会でもちょっと話したんだけど、それこそ町を手をつないで歩くのかな?
永井 えー、しないでしょ。だって、女性は3歩下がって歩くみたいな感じでしょ!?
柳瀬 劇中でもちょっと肩が触れるだけで「あっ!」て思うぐらいだから、正直今の僕らには無い感覚だよね。
だから良く、初恋の時はどうだったかな?とか話したりしたけど。
永井 そうだよねー!そうなんだよねー。
柳瀬 だから、沢山考えるんだけど、恋愛だけじゃなく色んなことに純粋な人たちって思うな。とっても
本質的なものを大事にしてるっていうか、そこが芯っていうか。
永井 そうだね。
柳瀬 まして京子はね若いし夢一杯で…
永井 そう!ホントに反射神経で生きてるみたいな。
柳瀬 反射神経で動けって言われたもんね。
永井 はい!
柳瀬 新之助君はがんじがらめの中で生きてるから、理性も働くけど…
永井 理性派と反射神経派!
柳瀬 「静と動」ってヤツだよね。でも、「静なりの動」とか「動なりの静」が一本きちんと芯が通った状態で出来れば、
お客様にも感情移入して頂いて「あの二人、うまくいくと良いなー」的に見ていただけると良いなー、と思うんだけどね。あはははは!(笑)
永井 ねえー!そうなのよね!そのドキドキをどれだけ伝えられるか。だよね!
柳瀬 うん!
永井 命をかけていかないとね!
柳瀬 舞台の上で、素直に、純粋に存在出来るようにね!
永井 恋愛物って楽しいね!
柳瀬 楽しいね!
永井 昔、先輩が恋をする役のときは嬉しい!って、日常生活も充実するっておっしゃってて「へぇー、そうなんだぁ」
って思ってたんだけど、ホントにわかる!
柳瀬 それは嬉しい!!!
永井 芝居の中では恋をしてるから、心がいつもウキウキしてる!
柳瀬 確かに、結ばれるのか、結ばれないのか、って一番楽しい時だしね。
永井 そうそう!
柳瀬 それを疑似体験!?リアル疑似体験してるって事だものね。ウキウキするね!
永井 そうなの、役得って!役によって色んな感情が生まれるんだなって納得。
柳瀬 同感!
永井 ねー!
柳瀬 稽古場、日常も含めた充実したドキドキっぷりが皆さんに伝わると良いんですが…
永井 ホントに!
柳瀬 やはり感情移入して頂けたら一番ですね!
永井 うん。若い方からお年寄りの方までね…
柳瀬 優しい気持ちになって劇場をあとにしていただけるようにね!
永井 うん!
柳瀬 間もなく初日迎えますが…
永井 はい!
柳瀬 頑張りましょう!
永井 はい、よろしくお願いします!
END